日本共産党東大教養学部支部委員会,日本民主青年同盟東大教養学部班委員会『東大における反共主義とのたたかい』(1986年,学生新聞社)の目次

 
IMG_0602

 2012年6月に全学連から脱退し,名実共に,特定党派の支配に終止符を打った東京大学教養学部学生自治会ですが,その歴史の中では,一時期,共産党が主導権を失っていた時期がありました。東大紛争前もそうなのですが,それよりも,全学連・学生自治会経験者に深い印象を与えているのが,1984年6月~1985年12月の「七夕・クリスマス」時代でしょう。この時期,自治会選挙において,一般学生によって構成された選対が,共産党系の選対に対して勝つという出来事が起こっていたのです。
 これに対して,共産党は,党派性をむき出しにして対応しました。「民青東大教養学部班」の名前を出して,複数のビラや論文を発表し,学内で撒きまくりました。今回公開するのは,それらの論文を「学生新聞社」がまとめた本「東大における反共主義とのたたかい」です。ところで,この時期は,ちょうど,志位和夫氏が,党中央で青年分野を担当していた時期にあたります。また,2010年時点で,「志位さんが東大担当をしていた」というのは,東大の党組織でよく語られていたことです。おそらく,これらの論文は,実際には,志位和夫氏が執筆したものではないでしょうか?そうしたわけで,「志位和夫委員長の汚れた手(3)」として公開する次第です。

 「七夕・クリスマス」選対の詳細な時期についても記しておきます。
1984年6月選挙 第69期 七夕選対
1984年12月選挙 第70期 クリスマス選対
1985年6月選挙 第71期 紫陽花選対 (~1985年12月)

 googledocsでひらきます。共産党が,大学における共産党批判に対してどのように対応したかがわかる一級資料です。ぜひぜひ,お読みください。

 寸評を加えておきます。まず,「七夕・クリスマス」と原理研が「客観的に見れば共闘関係にある」というのは,<つづく→>
共産党を中心に見た場合にそう見えるという自己中心的観念に過ぎず,まったく論評に値しない寝言です。実際には,「原理研=七夕・クリスマス」という雰囲気を学内に作り出そうとしての決めつけだったのでしょう。非民青が反共分裂主義だ,と言う点ですが,これはすでに2012年6月の全学連脱退で結論が出ています。民青同盟員がいても別にいいのです。しかし,共産党が,現場の学生党員を通して,組織的に自治会活動に指導・介入を行っているのが問題なのです。「思想信条の自由」をここで持ち出すのは,問題をすり替え,学生の良心を党派的利益のために利用する姑息な詭弁にすぎません。そして,これらの論文で私がもっとも看過できないのは,71ページ~72ページにある記述で,「七夕・クリスマス」執行部が企画した「自治を考えるつどい」を,「全員参加の自治会をつくる大道を事実上放棄」「クラスを基礎にした全員加盟制の自治会そのものの解体に行き着かざるを得ない」などと非難していることです。「自治を考えるつどい」というのは,きっと,「七夕・クリスマス」執行部の人たちが,自治会を活性化させようとして,企画したものだったのでしょう。それを,「自治会を解体させるもの」などと逆さまに描き出して一方的非難を加える日本共産党は,自治会活動を発展させる誠実な立場など持っておらず,たんなるセクト引き回しを画策しているにすぎないのは明らかです。38ページに「隠れ勝共O」のことが述べられていますが,これなんか,共産党員・民青同盟員は全員が正体を隠しているのですから,まったくもって,人を批判する資格がありません。じゃあ「隠れ民青」をやめろよ!

 ただ,短命におわった「七夕・クリスマス・紫陽花」執行部を諸資料から振り返るとき,そこには,理論面だけではなく,「一般学生 対 プロ学生・組織」という対立構図もあったことをふまえなければならないと痛感します。理論面では,共産党の詭弁など学生の支持を得られるはずが無く,一般学生が選挙で勝つのは当然です。1984年当初の選挙結果もそれを反映したごく自然なものだったでしょう。しかし,83年までにも一般学生の候補が出ていたのに勝てなかったこと,85年に共産党が執行部を奪還したことなどは,これは理論面では説明がつきません。やはり,共産党側の,組織力を生かした物量作戦が奏功したとみるべきでしょう。特に,学生党員は,2013年時点でも,「プロ学生」といってもよい,活動中心の生活をしています。その活動量の高さは,一般の学生数人でも及ぶところではありません。私など,連日のように,早朝からビラを撒き,授業を切って自治会室で作業し,夜は民青の企画に出て勧誘に精を出し,深夜は翌日のビラを制作したり印刷したり,宿泊はそのままセンターという生活をしていたものです。そんな学生党員が,組織力をバックにして,一面的に一般学生執行部の活動を巧妙に誹謗するビラを撒きまくったら,特に,自治会に普段関心のない一般学生の心は動いてしまいます(私から見れば,今も昔も,共産党と「無関心層」こそ,「共闘関係」にあります)。
 また,実際の自治会活動の面でも,組織がバックにない一般学生執行部は,表面的には,共産党系執行部時代よりも活動量が落ちたことでしょう。共産党は,活動に関連する新聞記事や資料を提供してくれたり,時にはビラを代わりにつくってくれたりと,かなり裏で自治会の活動をバックアップしてくれます。大会前などになると,院生党員や他大生の党員も応援に駆けつけてくれます。実際,この本の63ページでは,共産党側は,当時の紫陽花執行部の活動量が低いことをもって次のように批判しています。
一,学生の要求にこたえられない自治会
 今,少なからぬ学友の中から,東C自治会執行部について「何をやっているのかわからない」「一部の人たちが勝手にやっているようだ」「学生の声をまともに聞いてくれない」などの意見がよせられている。実際,11月7日の自治委員会は,参加が開始時から約40名,12,13両日の代議員大会も参加約60名という状況に端的に象徴されるように,自治会は多くのクラス,七千の学生からかけ離れた存在にさせられてしまっている。東C自治会のこの現状はきわめて深刻だといわねばならない。心ある多くの学友が今,こうした現状を憂い,その打開の道を真剣に模索しはじめている。
(63~64ページ)
 まあ,ここに書かれていることは,1990年代以降,2012年全学連脱退までの自治会にそっくり言えるのがなんとも皮肉ですし,「少なからぬ学友」の声なるものは,党員自身の言葉なのでしょう。しかし,いずれにせよ,組織力のない一般学生による活動には困難が伴うことを物語っています。今の2013年の新生自治会も,ふたたび,共産党からこのようなことをいわれないように,自覚して活動してもらいたいものです。

 ※著作権の問題ですが,学生新聞社が消滅しているので,グレーゾーンだと考えています。また,すでに販売されずに久しい本であり,裁判で問えるような経済的損害はないでしょう。