新歓シーズンを迎え,どうやら,「民青 駒場」という検索キーワードで結構な数の人が訪れているようですので,民青駒場班/みんせい駒場班に入ろうとしていたり,興味があったりする学生に向けて,元関係者の立場から,とりあえず知っておくべきことを,ここにまとめておきたいと思います.

 その前に,私の立場を明らかにしておきます.私は,様々な成り行きがあって,2010年4月~2011年12月の約1年8ヶ月の間,東京大学に支部・班をおく日本共産党・民青同盟の内部で活動してきました.私がなぜ辞めたかについては,当時私がその理由を明らかにしたこちらの文書をご覧下さい.

 まず,民青は,共産党のフロント組織です.民青に入れば,ほぼ必ず,数ヶ月後には,共産党への入党勧誘が行われます.民青の活動を担っているのは共産党の職員であり,民青の活動方針も,対応する共産党支部で内定しています.民青の問題は,共産党の問題とイコールであることを認識しておく必要があります. 共産党と民青の関係については,こちらに内部文書を公開しましたので,これを読んでいただければ実状が理解できると思います.
 民青・共産党は,確かに,政治課題に関する学習会や,震災被災地へのボランティア派遣など,真面目な活動を行っています.私は,学生の政治意識の低さに普段から問題意識を持っているものの一人ですので,むしろ,学生の政治的活動の発展を願うとともに,応援したいと思っています.しかし,民青・共産党には,大きな問題があります.一言で言うのは難しいので,諸点について,論考を紹介しておきます.

■自己絶対化
 民青・共産党に入ると,徐々に,「共産党だけが正しい」という考え方を刷り込まれるようになります.これは本当に問題で,自組織を絶対化することにつながり,世の中全体・政治社会情勢全体を,共産党を中心にして見るようになってしまいます.なにより深刻なのは,共産党に対する批判を,すべて,共産党の前進を恐れる勢力による謀略攻撃だ,と考えるようになってしまい,批判を拒否してしまうことです.私のこのブログについても,彼らは,「公安警察から情報と金を提供されている」などと荒唐無稽なことを言って,その内容を否定していることでしょう.また,自組織を相対化してとらえられないために,世の中の理知的常識からずれていってしまうのです.
日本共産党員であることを隠す事について(試論)
「民主集中制を思う」を読んで
カルト構成員の思考回路

■反社会性
 自組織には社会変革のための優越性が与えられているという暗黙の考え方から, 目的のためには手段を選ばない傾向があります.
 たとえば,私は,共産党と決別した後,様々な経緯もあって,2012年6月に,共産党に名指しで批判されました.この文章が,2012年6月に,駒場キャンパスに立て看とビラで出されたほか,赤旗にも掲載されました.一学生を,総力を挙げてつぶしにかかろうとする姿に,多くの学生が恐ろしさを感じたことでしょう.次の画像が,そのビラです.大学で,日本共産党を名指しで批判すると,このような反応が返ってくるのです.このような組織とどうつきあうべきか(つきあわないべきか)は,自明でしょう.
日本共産党何ろく批判ビラ表面 日本共産党何ろく批判ビラ裏面
PDF版 「日本共産党は,学生の切実な要求,学問の自由と大学の自治の発展のために力をつくします~事実をゆがめる不当な非難について~」(2012年6月 日本共産党東京都委員会)

■欺瞞性 
 私が最も許容できず,東大駒場の民青・共産党と決別する最大の理由になったのは,一般市民や学生を信頼せず,平気でウソをつくことのできる彼らの根深い体質です.以下に,少しだけ紹介しておきますが,彼らの姑息な議論・行動は,ネット上にも様々な形で記録されています.
 彼らは,民青に新しく入った人に対しても平気でウソをつきます.すでに民青に入っている方は,このブログを見たことを伏せて,専従や先輩に「部室事件」について問うてみてください.当ブログが明らかにしている所とは別の返事が返ってくることでしょう.
【目次】日本共産党・民青同盟ダミーサークル部室

■駒場で起こった出来事
 2012年,駒場では,民青・共産党をめぐって,いくつかの事件が起きました.それらはいずれも,民青・共産党の政治的限界によってもたらされた,極めて重要な意味を持つ事件です.ここに紹介しておきます.
 ひとつは,学生自治会の全学連脱退・共産党絶縁です.2011年まで,学生自治会は,代々,共産党系執行部で,加盟していた全学連も,共産党系でした.同時に,党派に系列化された学生自治会では,真に学生を代表することは出来ないという問題意識が,長年,学生の間にありました.そうした中で,自治会の役員をしていた複数の共産党員が,「党による上からの指導はやめてほしい」と主張し,集団で党活動から離脱し,自治会の改革に取り組んだのです.
 ついにとどめを刺される「全学連」東大の自治会が引き起こす社会運動史上の大事件とは (期限切れのため,全文を読むには無料の会員登録が必要です)

 いまひとつは,民青・共産党が,ダミーサークルの名前を使って確保していた部室がなくなったことです.そもそも,政党が,偽の団体をでっち上げて学内に部室を確保すると言うこと自体,おかしかったのですが,部室の割り振りを担当する学友会の力不足などもあり,ずっと,表だって問題化することはありませんでした.しかし,2012年12月,部室の使用に必要な年次更新書類を,共産党の担当者が,締め切りまでに提出できないという事態が発生しました.当然,学友会側は,部室の取り上げを決めたわけですが,これに対して,民青・共産党側は,「裁判を起こす」などと恫喝しながら,決定の撤回を訴えたのです.結局,自分たちの不注意を棚に上げてのなりふり構わない部室維持工作は,学生の支持をまったく得られず,部室取り上げがそのまま確定しました.
 日本共産党ダミーサークルが部室を追い出される――書類提出の締め切りを守れず

 なお,私自身の体験としては,冒頭に述べたとおり,2010年4月~2011年12月までの1年8ヶ月間,民青・共産党の活動に加わり,組織体質に疑問を持って離れたということになります.そのときに,党にあてて出した文書はこちらです.同時に,私の周りの複数の党員も,離党したり,活動から離脱したりしました.他方,党・同盟の側にのこり続けた同期の学生もいます.彼らの,社会を変えたいという善意には心から賛辞を送るものですし,新入生に対しても,きっと,親切に対応してくれる,いい人たちであると思います.しかし,やはり,共産党による私への圧迫や,学生に対する詭弁の展開などに責任を持っている人たちですし,一部の党員同盟員は,私たち,党から離れた人に対して,カネ目当てだとか,私怨によるものだとか言う,筋違いな非難を加え,そのうえ私生活を詮索してきた人もいます.それに,今はネット時代であり,組織の力によっては隠し通せなくなってきた,過去の個人的体験が世に出てくるようになりました.民青・共産党についても,少しでも調べれば,それがまともな集団でないことはすぐにわかります.そんな単純なことを認識することを拒否した人が,政治的に誠実だとは思えません.人間の理性が,かくももろいものであることを痛感させられます.

■おわりに
 もしも,世の中が革命情勢であれば, 支配勢力の圧迫に抵抗するために,一定の集中制と,思想的「武装」を行うことも正当化できるでしょう.革命情勢下で,革命勢力に対して「脱カルト」を説くのは,ブルジョワ社会規範の押しつけであり,反革命的です.しかし,いまはどうでしょうか.客観的に見て,日本が切迫した革命情勢にないのはほとんど確からしいですし,なにより,日本共産党・民青同盟は,公式に,社会主義革命を遠い将来の課題としており,実際に,その政策などに革命性を見いだすことは難しい状態にあります(いまの共産党の政策はほとんど社民主義に近いものです).そうした中で,組織体質をそのままにしておけば,それは,指導部への崇拝と組織維持を至上のものとするカルト団体へと転落するほかありません.
 現に,日本共産党の組織体質は,広範な市民に不安をもって見られており,組織の前進を阻んでいるという見方も根強くあります.政治的前進を犠牲にしてまで,共産党が必死に守ろうとしているのはなんなのでしょうか.
 確かに,現在,議会政党だけを見ると,右傾化が著しく,左派はかろうじて共産党と社民党だけ,という状態があります.共産党は,これを以て,共産党の唯一正当性を主張します.しかし,ほんとうは,日本の左翼全体が縮小して,諸派が議会から脱落していった結果なのではないでしょうか.議会において,一見,共産党しかまともなことを言う政党がないように見えるのは,共産党の正しさを説明するものではなく,日本政治における左翼の凋落を示すものです.もちろん,共産党にもそのことに対する責任があります.左翼的立場から政治を変えたいと思う学生は,民青・共産党に入るのではなく,自分たちで新しい運動をつくっていくぐらいの気概を持ちたいものです.